2024年は終わりとなります。私の30年以上の獣医師歴でスーパー朗報が、飛び込んできました。猫伝染性腹膜炎(FIP)以下FIP の治療法が、完全ではないものの、可能になりました。
FIPは不治の病として有名で、対処療法しかありませんでした。数ヶ月から3才位までに発症する病院で、名前の通り腹水がたまって、発熱、貧血、食欲不振などの症状が出て死んでしまう恐ろしい病気です。腹水が貯まるのをウエットタイプ、肉芽腫(慢性的な炎症による)ができるドライタイプ、神経(眼病を含む)タイプに分類され、これら3タイプが混在するタイプとあります。ウエットタイプは比較的診断しやすいですが、ドライタイプや神経タイプは、見落としてしまいます。確定診断として、FCoV抗体測定が、一般的な方法でした。ただし、陽性だからといって、FIPとの診断にはならないのです。FIP陽性の猫で、無症状の猫はたくさんいます。(といいますのも、FIP陽性猫の10%以下しか発症しない)
なぜ今年私にとっての大朗報かといいますと、FIP治療薬を知ることができたからです。ヒト新型コロナ治療薬が、開発され、それを猫にも応用し始めたからです。①レムデシビル、②モルヌピラビルは日本で認可されました。③GSー441524④MUTIANは無認可です。
正直いいますと、今年の11月に症状、検査でほぼFIPの猫がいました。飼い主さんが、ネット等で調べて、FIP治療をしている動物病院があるとのことでした。えええ?
FIPが治る!!!私は、可能な限り情報を集めました。勉強しました。そこで、モルヌピラビルの第一人者・佐瀬興洋先生(千葉県のユーミーどうぶつ病院)を知る事となりました。先生が「獣医師雑誌CAP」に執筆している事を知り、すぐに取り寄せました。まだ治験段階にもかかわらず、寛解(完治したとはいいずらい)し、再発はないそうです。
実は今、FIP治療中の猫がいます。食欲不振、腹水、元気消失の症状が改善してきました。とても嬉しいです。不治の病とされていたFIPが良くなっている。凄いです。治療はまだまだ続きます。寛解・再発なしをめざします。
今年最後のブログとなります。来年もよろしくお願いします。
バッカス動物病院
住所:愛知県岡崎市中町東丸根240
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